小学生柔道の全国大会廃止に反響続々 「脱落者生む構造も」:コメントプラス

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▽小学生の柔道全国大会廃止 「行き過ぎた勝利至上主義が散見される」(18日配信)

https://www.asahi.com/articles/ASQ3K72D7Q3JUTQP00H.html

 反響の大きかったこの記事には、慶應大大学院教授の蟹江憲史さんら5人がコメントしました。

 蟹江さんは、「小学生のスポーツ過熱化については、私が現在滞在している米国でも課題になっているようです。こちらでも、スポーツで進学する道が開けたり、奨学金をもらえるという道があったりすることが、過熱化に拍車をかけているようで、これは日本も似ていると思います」と米国の状況を紹介。「他方で、例えば野球では球数規制が厳密だったりと、子どもの身体を考えた指導は徹底しているように思います。また、スポーツチームに色々な選択肢があり、親も子どもたちも一人の指導者、一つのチームにこだわらずに変えていけることで、選択の自由が確保されていることも大事なように思います」と日本との相違点を示しました。

 NPO法人カタリバ代表理事の今村久美さんは、「きっと、柔道だけではなく、各種スポーツの大会も、そのスポーツを取り組み楽しむ子どもたちを増やしたいという、振興施策だったのではないかと思います。どこで何が間違って、大人による勝利至上主義に子どもを巻き込む今のような形になってしまったのでしょう」とし、「この経緯から学ぶべきことは、私たちも他人事ではなく、とても多くありそうです」とコメントしました。

 教育ジャーナリストおおたとしまささんは「競争のなかにおいてさえも他人と自分を比べない強さを身につけるように導くのが大人の役割であるはずなのに、その大人が前のめりになってしまう。スポーツでも音楽でも受験でもいたるところで起こっています」と指摘しました。ある母親が、息子の空手活動と中学受験とを両立させようと悩んでいた例をあげ、母親自身が視野を広げていった経緯を紹介しました。

 スポーツ教育学者で元ラグビー日本代表の平尾剛さんは「ゆくゆくはすべてのスポーツにおいて小学生の全国大会はやめるべきだと私は考えています。成長途上にある児童に、勝利だけを追求する競い合いはほとんど価値がないと思うからです」とコメントしました。「できる他の子供と自分を比べて自信を失い、また無理をして怪我(けが)をする恐れもある。場合によっては競技の継続を断念する子供も出てくる。つまり制度自体が落伍者(らくごしゃ)や脱落者を生む構造になっています。現実を見渡せば、中学生あるいは高校生になってからメキメキ頭角を現す子供もいるんです」と強調し、全柔連の決定を英断だと評しました。

 朝日新聞の中小路徹編集委員は大会の成り立ちについてコメント。「小・中学生のスポーツの対外大会は、戦後しばらくは国が規制していました。戦前に運動部活動の過熱化があり、その弊害としての勝利至上主義を防ぐためでした。それが、戦後初めて日本が参加した1952年のヘルシンキ五輪で惨敗すると、競技団体の側から『国際大会で勝つためには低年齢からの選手養成が必要』という要請が出始め、それは1964年の東京五輪で、さらに強くなります」と歴史をひもとき、その後、小学生の全国大会が事実上容認されていった経緯を紹介しました。

 この話題についてはほかにも記事が続きました。

▽「財政難でスタート、『これ必要?』 小学生の柔道全国大会廃止の裏は」(21日配信)

https://www.asahi.com/articles/ASQ3P4VGKQ3PUTQP00R.html

▽「きっかけは英国のパブ、小学校の全国大会廃止 柔道の山下会長が語る」(22日配信)

https://www.asahi.com/articles/ASQ3P6W51Q3PUTQP018.html

これらの続報にもコメントが重なっています。

どうなる日ロ交渉、佐藤優さんが分析

北方領土、切り続けたカード ロシアは歩み寄るどころかはしご外し(22日配信)

https://www.asahi.com/articles/ASQ3Q6X9JQ3QUTFK02W.html

 この記事には作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんら2人がコメントしました。

 佐藤さんは「ロシア第一チャンネル(公共放送)の討論番組『グレート・ゲーム』で興味深い議論がありました。2月24日にロシアがウクライナを侵攻した後、クレムリン(ロシア大統領府)は、外国にシグナルを出すのにこの番組を用いています」と現地のテレビ放送に注目。歴代のロシア政権にも近い政治学者ミグラニャン氏の言葉を詳しく引用した上で、「ミグラニャン氏は、日米同盟の枠内という制約条件でも安倍晋三氏のような主体性を重視する指導者が出てくれば日本との関係改善は可能であるとの見方を示しています。3月21日のロシア外務省声明では<ロシア側が現在の条件において、(中略)平和条約に関する日本との交渉を継続することを望まない>と述べています。『現在の条件において』とロシア外務省声明が述べていることが興味深いです。日米同盟の枠内でもある程度の対米自主性を発揮できる首相が現れれば、平和条約交渉の席にロシアが再び戻るというニュアンスがあります」とコメントしました。

 朝日新聞の前田直人コンテンツ戦略ディレクターは「『ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている』とまで踏み込んだ安倍氏とプーチン氏の『蜜月』とは何だったのか。そう思わずにいられませんが、お互いに政治家です。長期政権を築いた安倍氏はあのころ、本来の悲願である憲法改正の見通しが立たないなか、ライフワークでもあった日ロ交渉をレガシーの一つとして位置付けて熱心に取り組んだのでしょう」と振り返り、「プーチン氏との個人的な関係が今後、平和のために生かせる機会があるのかどうか。その点も気になります」とコメントしました。

※コメントプラスは、ダイバーシティー、SDGs、働き方、教育・子育て、国際のジャンルに詳しい専門家と朝日新聞記者で昨年6月にスタートしました。その後、政治、スポーツ、デジタルの分野に拡大し、コメンテーターは約100人に。有料会員登録していただくとすべてのコメントを読むことができるようになります。登録はこちら(https://digital.asahi.com/info/standard_course/別ウインドウで開きます

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