ロシアにしてやられた中国 勇気得た台湾 松田康博・東大教授に聞く
核兵器国であるロシアが圧倒的な軍事力を動員してウクライナに侵攻した今回の事態は、北東アジア、とりわけ台湾海峡情勢にどのような示唆があるのでしょうか。中国と台湾の政治、安全保障に詳しい東京大学の松田康博教授に聞きました。
まつだ・やすひろ
1965年生まれ。香港総領事館専門調査員、防衛研究所主任研究官などを経て現職。専門はアジア政治外交史、中国と台湾の政治・安全保障、中台関係など。
◇
――ウクライナ侵攻に対し、中国は明確にはロシアを批判していません。中国は事態をどう受け止めているのでしょうか。
ロシアが軍事的圧力をちらつかせるだけなら、中国包囲網を作る米国の注意力がそがれ、中国としては悪くなかった。ただ、全面侵攻になると話は別で、当惑しているはずです。
北京冬季五輪では、ドーピング問題でロシアが制裁を受け、ロシアを代表する選手団としての参加が認められていないにもかかわらず、中国の習近平(シーチンピン)国家主席はプーチン大統領を開会式に招いた。中国は米国による五輪外交ボイコットを打破するためにプーチン氏を利用したのです。他方、プーチン氏はウクライナ侵攻を後ろから支えてもらうために北京に行ったのです。果たしてプーチン氏がその時習氏にウクライナに全面侵攻する予定だと伝えたかどうかは分かりません。
中国は「一杯食わされた」
――中国は侵攻を予測していなかったと。
武力行使に至らないか、限定…
【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
ウクライナ情勢 最新ニュース
ロシアのウクライナ侵攻に関する最新のニュース、国際社会の動向、経済への影響などを、わかりやすくお伝えします。[もっと見る]