法隆寺金堂壁画、焼損前の姿 大正期の「フィルム」発見

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編集委員・小滝ちひろ
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 7世紀の飛鳥時代に描かれ、古代東アジアの至宝とされる奈良県斑鳩(いかるが)町の法隆寺金堂壁画を1916(大正5)年に撮影したガラス乾板(かんぱん)約150枚が、東京・上野の東京国立博物館(東博)でみつかった。この乾板の存在は知られていたが、実物の所在は不明だった。これまでにみつかっていた35(昭和10)年に撮影された「ガラス原板」(国重要文化財)より古く、49(昭和24)年の火災で焼損する前の姿を探る重要資料として注目される。

法隆寺金堂壁画

法隆寺金堂内の12面の壁に描かれた現存する国内最古の仏教絵画。中国の敦煌(とんこう)莫高窟(ばっこうくつ)の壁画などと並ぶ世界的な傑作。大半の壁画が1949年の火災で彩色を失い、境内の収蔵庫に運び込まれた。

 ガラス乾板は、ガラスの上に感光材を塗った撮影用の材料で19世紀末に実用化されたが、のちに手軽なフィルムに取って代わられた。

 東博の瀬谷愛・保存修復室長(美術史)らが1月、博物館内の収蔵庫でみつけた。縦約30センチ、横約25センチの乾板が数十枚ずつ、木箱三つに入っていた。金堂壁画について、明治時代から保存方法が検討され、1916(大正5)年に美術史研究者の岡倉天心(おかくらてんしん)の発議で文部省に「法隆寺壁画保存方法調査委員会」が発足。写真家の田中松太郎(まつたろう)(1863~1949)が委員会の依頼で撮影した。みつかった乾板には田中が撮影した原板とその複製が混在しているとみられる。

 田中は、阿弥陀浄土図など群…

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