図書館がなくなる…突然の表明、厳しい懐事情 問われる「公共とは」

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武田遼

 「これからどうしよう。ほんとに困っちゃう」

 2週間に一度、自転車で野塩図書館(清瀬市)に通っているという40代の女性は、今年3月いっぱいで同図書館が閉館になると知り、困惑した。9歳と6歳の子どもたちが赤ちゃんの頃から通い続けてきた。

 親が「良さそうだな」と思う本や絵本を、必ずしも子どもが気に入るとは限らない。子ども自身が実際に手に取り、開いてみて選ぶことの意味を、実感してきたという。

 大学の図書館などで司書をしてきたという70代の女性も、突然の閉館の知らせにぼうぜんとなった。今は年金暮らしで、近所の同図書館を愛用している。市は代わりに、市民が予約した本を無料で自宅に届け、貸し出す「おうち図書館」事業を始めるというが、女性は「図書館運営は、採算を度外視してでも守る価値のある公共サービスだと思う」と話す。

図書館の存続をめぐり、清瀬市が揺れています。利用者の減少や財政に余裕がないなか、公共図書館を減らすことは、やむをえない判断なのか。同市と瑞穂町の例から考えます。

 同市に市立図書館が誕生したのは1974年8月。その後も市は、徒歩などで来館しやすい「小さくても地域に密着した図書館サービスの提供」を掲げ、95年までに5館を新設。以降、6館を維持してきた。

 だが昨年3月、市は「南部」…

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