刑事裁判の通訳料「被告に負わせない」 国際条約踏まえ、高裁が判断

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山本逸生

 窃盗などの罪に問われた中国籍の女性被告(43)の控訴審判決で、大阪高裁(辻川靖夫裁判長)が「法廷通訳」の費用は原則として被告に負わせないとの判断を示した。実務上は無料とすることが多いが、異なる司法判断もあるといい、識者は「意義は大きい」と評価した。

 被告は複数と共謀し、不正に入手したクレジットカード情報で商品を買った罪に問われ、「犯罪の認識がない」と無罪を主張。一審・奈良地裁は懲役2年6カ月執行猶予4年の有罪としたため、被告側が控訴していた。

 今月3日の高裁判決は地裁の事実認定に誤りはないとした上で、資力がない人を除き、訴訟にかかった費用は被告の負担とする刑事訴訟法に基づき、弁護士費用だけでなく中国語の通訳人の旅費や日当なども被告に負わせた奈良地裁判決の是非を検討した。

 高裁は、日本も批准する国際人権規約は刑事裁判における通訳の重要性から、資力を問わず「無料で通訳の援助を受ける権利」を被告に保障していると指摘した。

異なる司法判断も、識者「大きな意義ある」

 その上で「法律は、優位にあ…

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この記事を書いた人
山本逸生
大阪社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、福祉、労働