子どもを魅了する絵本「たぷの里」 クレージーな笑いの原点とは
道を歩いていると、ご飯を食べていると、お風呂に入っていると、どこからともなく現れて……「たぷ」。謎の力士、たぷの里はいつも真顔で、みんなの頭におなかを乗せます。生みの親であるギャグ漫画家・藤岡拓太郎さんに、ナンセンスな笑いにかける思いを聞きました。
幼児から大人まで笑わせたい
子供のころからギャグ漫画が好きでした。小5で吉田戦車さんの「伝染(うつ)るんです。」に衝撃を受けて、自分でも4コマ漫画を描くようになりました。クラスでみんなを笑わせるようなひょうきん者ではなかったので、読者は親ときょうだいだけ。それでも、笑ってもらえるのが快感でした。
本格的にギャグ漫画を描くようになったのは19歳のころ。10~20ページの短編漫画を描くのと並行して、インターネット上で出されたお題にボケを返す「大喜利サイト」でも活動していました。大喜利では、同じボケでも言い方を変えるだけでウケることがあります。いかにシンプルな面白さを追求するかという、俳句や短歌にも通じる大喜利の考え方は、その後の漫画や絵本の創作にも生きています。
高校生のころからたくさん見てきた漫才やコントからも、大きな影響を受けています。ただ、日本のお笑いはすごくハイレベルな一方、マニアだけにウケる閉じた笑いだと感じることも多いです。もっと、世代も国籍も超えて笑わせたい。「子供向け」ではなく、幼児から大人まで笑わせられるものを作りたいという気持ちが、「たぷの里」を描く原動力になりました。
たぷの里
ナナロク社、2019年、4万7千部。とぼとぼ道を歩いているとき、きこきこ一輪車をこいでいるとき、ぶくぶくお風呂に入っているとき……どこからか忽然(こつぜん)と現れては、人の頭におなかの肉を乗せる謎の力士、その名はたぷの里。たぷっと柔らかいおなかを乗せられた少年は、なんとも言えない表情になってしまいます。
朝のまどろみに、突然のたぷ
たぷの里のイメージは、ある…
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