日本隊発掘のヒッタイト遺跡から雷神の粘土板 なぜゼウスと関係が

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永井靖二

 古代オリエント世界に「鉄と軽戦車」で覇を唱えたヒッタイト帝国の遺跡で、日本の調査隊が発掘したくさび形文字の粘土板に研究者の注目が集まっている。古代ギリシャの最高神ゼウスの原形とされる雷神の名が刻まれ、西側のエーゲ海沿岸に文化が伝わった経路を示している可能性があるという。

 現場はトルコ・アナトリア地方の中央部にあるビュクリュカレ遺跡で、日本の「中近東文化センター付属アナトリア考古学研究所」(JIAA、大村幸弘所長)が2009年から発掘している。JIAAは1986年から、ヒッタイトの中心地だったアナトリアで遺跡の発掘に取り組み、現在この遺跡を含む計3カ所で調査を進めている。

 ビュクリュカレは約500メートル四方の都市遺跡。中心部の丘の上に、長辺50メートル以上に達する宮殿とみられる日干しれんが造りの建物があったと推定されている。

 昨年5月、宮殿の城壁の外側で、それ以前の建物を壊して埋めたとみられる厚さ約2メートルの堆積(たいせき)土の中から、くさび形文字が刻まれた粘土板が出土した。

 粘土板は縦9センチ、横7セ…

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