アカハラ「自分は大丈夫」と思わないで 会社員とは違う研究者の事情

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聞き手・藤波優
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 男性教授からハラスメントを受けうつ病になったとして、山口大学の女性研究者が労災認定された。大学の教員は企業の社員と比べ、被害を受けても声をあげづらい事情があるという。なぜ対応が難しいのか。2人の専門家に話を聞いた。(聞き手・藤波優

■弁護士・井口博さん

 大学におけるアカハラでの労災認定の事例は聞いたことはありますが、一般的な会社に比べると圧倒的に少ないように感じます。

 今回の認定は、研究や指導に関する言動がうつ病の原因になるということを示しました。本当は当たり前のことなのですが「研究者だから厳しく言うのはやむを得ない」「研究だから仕方がない」と甘く見られることがあります。事例が少ない中で認定されたことは、意味があると思います。

 大学教員らは、ハラスメントを受けても声をあげづらい特殊な事情があります。研究者の場合、相手も同じ分野の研究者ということが多く、ここで波風をたてると将来に支障をきたしてしまう。学内で異動ができたとしても、学会はその後もずっと一緒ということもあります。

 また、大学では加害者側の味方につく人がけっこういるんです。会社では、「パワハラ上司は外していこう」と協調できますが、加害者が成果をあげている研究者だと、自分の将来を考えて味方につく人がいます。

自殺するケース、セクハラよりも多い

 アカハラがなくならない原因…

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