産経記事、二審も「真実と認められない」 元宮古島市議への賠償倍増

金子和史
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 県営住宅に入れる基準を超える収入があったのに入居したと報じた産経新聞のネット記事をめぐり、名誉を傷つけられたとして、石嶺香織・元沖縄県宮古島市議が産経新聞社に220万円の賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁(増田稔裁判長)であった。高裁は、一審・東京地裁判決に続いて「記事は真実とは認められない」とし、記事の削除と22万円の支払いを命じた。賠償額は一審の11万円から倍増した。

 問題になったのは、産経新聞が2017年3月22日に配信した記事で、同年1月に補選で当選した石嶺氏が、市議として県営住宅の入居基準を上回る収入があったのに入居した、などと報じた。

「基本的な取材を欠いた」

 高裁判決は、記事が指摘した入居基準の超過は「根拠がなく、虚偽と評価されてもやむを得ない」と指摘。複数ある入居基準のうち、石嶺氏がどの基準に該当するかを取材で確認していなかった点について、一審に続いて「基本的な取材を欠いた」とも述べた。

 また、記事の配信から約7カ月後に宮古島市議選が行われ、閲覧数が増加したことから、「この時期の社会的評価への影響は小さくなかった」として賠償額を増額した。

 判決後に会見した石嶺氏は「高裁は一審よりもさらに細かく審理をしてくれた。(自分が取り組んできた)自衛隊の基地建設反対の声を封じ込めるため(の記事)だったのではないか」と話した。

 産経新聞社広報部は「判決内容を精査し、今後の対応を検討します」との談話を出した。(金子和史)

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