H3失敗で「だいち3号」喪失の痛手 成功前提のロケット計画に懸念
玉木祥子
次世代の基幹ロケット「H3」の初号機の打ち上げ失敗で、災害が起きた際の地上の状況把握を目的としていた地球観測衛星「だいち3号」が失われた。災害大国の日本にとって重要な衛星を、試験機の側面を持つ初号機のロケットに載せることが妥当だったのかという問いも浮かび上がる。
災害把握が期待されていた「だいち3号」
だいち3号は初代「だいち」の後継機として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱電機が開発した。搭載した「光学センサー」で、高度約670キロメートルから地形の変化や建物の有無などを観測する予定だった。
大きな特徴は、初代と同じ観測幅70キロメートルの視野を維持しながら、初代の3倍の地上分解能を持つ点。初代は2・5メートルの物体までしか識別することができなかったが、3号は80センチの物体を識別できるという。地震などの災害が起きた直後、道が通行可能かどうか、建物が倒壊しているかどうかが一目見ただけで分かるという。平時の画像と比べると、災害による被害かどうかも分かる。
■観測体制に空白…
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