第4回ロシアが悪用した「開かれた会合」 発案した元安保理議長「侮辱だ」

有料記事「機能不全」の舞台裏 国連安保理とウクライナ侵攻

ニューヨーク=遠田寛生

 ロシアのウクライナ侵攻という事態を受けても、解決に向けた有効な手立てを打てない国連安全保障理事会。構成国の改正など抜本的な改革のハードルは高く、久しく機能不全が指摘されています。それでも、できる範囲での改善を試みた人物がいました。ベネズエラの元国連大使で、安保理で議長も務めたディエゴ・アリア氏に現在の国連の状況やあるべき姿を聞きました。

 ――あなたが安保理に座っていた時から30年です。

 「私がいた1992~93年、安保理はまとまっていて国際平和と安全を守る本当の姿であるように見えた。幸運で夢物語のようでした。今は全く違う姿になったことは言うまでもありません」

 「(昨年2月に)安保理の議長国だったロシアが隣国に侵攻した。国連憲章を全く尊重していないことの表れです」

「偽の報告者」を呼ぶロシア

 ――安保理議長だった92年、あなたは安保理理事国が主導し、理事国や利害関係国以外にも安保理の場を開放する新しい形の非公式会合「アリア・フォーミュラ会合」をつくられました。決議などは出さず、記録もしないのが原則で、2016年には内戦下のシリアの人権侵害問題、昨年はイランの「ヒジャブ(ヘジャブ)」問題が話し合われています。何が狙いだったのですか。

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機能不全。ロシアのウクライナ侵攻後、この問題で1本の決議も採択できていない国連安全保障理事会はこう揶揄されています。安保理で何が起きているのか。会合を内外から見てきた人たちの証言から考えます。

 「初めてこの会合を使ったと…

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