第2回リアルに戻らない会議は要注意? 第一人者が指摘するデジタルの限界
コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)が一気に進み、ウェブ会議もすっかり身近になりました。ところが、ネット黎明(れいめい)期から研究を続ける宮原秀夫・元大阪大学総長はむしろ、コロナ禍でウェブ技術のマイナス面が浮き彫りになったと感じているそうです。
「リアルに戻らない会議は要注意」という宮原さん。いったい、どういうことなのでしょうか?
――パケット通信の理論確立など、情報通信の黎明(れいめい)期から携わってきた専門家として、コロナ禍でネットが果たした役割をどう評価しますか。
当初はどんなウイルスかも分からない中で、通信技術が社会活動を維持するインフラとして貢献したことは間違いありません。それでも総じて言えば、コロナ禍は技術のマイナス面や限界が浮き彫りになる契機だったと思います。
ウェブ会議の問題点とは
――ウェブ会議システムを使い始め、今では毎日世話になっている身としては、プラス面のほうが大きいように感じます。どこがいけませんか。
定型的で、連絡事項を伝えるだけの会議ならウェブは役割を果たせます。ですが、大学の総長など会議を主催してきた立場としては、議論を尽くして本当に重要なことを決定する会議にはウェブは不向きだし、使うべきではないとすら思っています。
コロナ禍によって、職場でも、家でも、デジタル化が一気に進みました。技術革新は、私たちの生活を幸せにするのか。そのためには何が必要なのか。第一線の研究者たちの論考をお届けします。
現在のウェブ会議システムで…
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- 【視点】
■仕事は「まわる」が「すすんで」いるのか? 学生、労働者、市民諸君!大阪大学総長、情報通信研究機構理事長などを歴任した宮原秀夫先生が乱打する警鐘を、我々は骨の髄までインストールしなくてはならない。この記事を社内で回覧することを強くすすめ
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