親しまれ半世紀 神宮球場名物、再びの出番と歓声を待つ
明治神宮野球場には半世紀以上、野球ファンのおなかを満たしてきた老舗がある。バックネット裏通路に店を構え、カレーが名物の「欅(けやき)」と、うどんとそばが人気の「水明亭」だ。ともに1960年代創業で球場の最古参。関係者は歓声が戻る日を心待ちにしている。
プロ野球は5月25日、当面は無観客で6月19日に開幕することが決まった。「無観客でも始まってくれれば間違いなく希望にはなる。うれしいことですね。いずれお客さんが入れば『やあ、やあ、やあ』と声をかけたいですね」。欅の米川忠史(ただし)社長(78)は声を弾ませた。コロナ禍で球場内の飲食店は営業できない日が続く。「普段はこの時期のカレンダーは日程でびっしり。1カ月に休みが1、2日ということもあった。こんなに休んだ記憶はありません」と米川さん。
創業時から働き、いまは長男岳史(たけし)さん(41)と切り盛りする。どんな世代でも食べやすいよう辛さを抑えたカレーが一番人気だ。早い日で午前6時半ごろに球場入りし、粉を焼いてルーをつくるところから調理を始める。ネットがない頃から口コミで評判を呼び、名物となった。牛丼やカルビ丼も親しまれる。
昼間に大学野球、夜にヤクルト戦が行われるとき、多い日でカレーや丼が計700~800食ほど出る。学生の頃に食べた味を懐かしみ、故郷に戻った後も上京するたびに寄ってくれるなじみの客もいるという。
「王貞治さんは気さくな方で…
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