無念さ、生きられなさ、人類の小さな声 ノーベル文学賞にハン・ガンさん 寄稿・斎藤真理子

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 この世の最も残酷な場所から響いてくる、あまりに親しみに満ちた声。血の通った、そして血を流しつづけている人類の小さな声。

 ハン・ガンの小説にはそれが充満している。

 「歴史的トラウマに立ち向かい、人間の命のはかなさをあらわにした強烈な詩的散文」

 授賞理由のこの部分を読んだとき、とても韓国らしいと…

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