(文芸時評)想像力を灯火に イシグロの「他者になれる力」 小野正嗣

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 カズオ・イシグロにとって作家人生のターニングポイントは、20代後半に訪れる。

 病気にかかったイシグロはベッドでマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』を読み、小説の書き方について一種の啓示を得る。記憶や連想のまま、一見無関係な出来事や場面が時系列からも自由に次々と展開されていく書き方に興奮す…

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