個別試験、コロナ下の実施 感染警戒、中止の大学も 国公立

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 国公立大学の個別試験(2次試験)が25日、始まった。新型コロナウイルスの感染拡大は収束せず、首都圏などは緊急事態宣言下にあるが、大半の大学は予定通り実施した。一方で感染リスクを理由に急きょ中止を決める大学もあり、直前まで混乱した。

 文部科学省によると、25日からの前期日程では169大学582学部に23万5403人が志願した。倍率は2・9倍で、昨年より0・1ポイント低くなった。

 今期の大学入試は、コロナ禍に翻弄(ほんろう)された。25日に東京大を受験した新潟県上越市の県立高3年の男子生徒(18)は「年明けから感染者が増え、どうなるか不安だった。無事に今日を迎えられて、ほっとした」。

 文科省は個別試験に先立つ大学入学共通テストのコロナ対応を徹底し、新たに第2日程や特例追試験を設定して実施にこぎつけた。だが、個別試験については各大学の足並みが乱れた。志望校まで長距離移動する受験生が多く、移動中の感染リスクへの懸念がぬぐえないためだ。

 横浜国立大はこのリスクを重くみて、昨年7月に個別試験の中止を決定。緊急事態宣言の対象区域に入っていた栃木県の宇都宮大が1月21日に急きょ中止を発表し、信州大も人文学部と経法学部で中止を決めた。

 個別試験をしない大学は原則、共通テストの成績で合否を決めるが、国公立大の受験生の多くは個別試験がある前提で勉強をしている。文科省は1月22日、選抜方法の大きな変更は受験生に多大な不利益を与えるおそれがあるとして、各校に慎重な検討を求めた。

 駿台教育研究所の石原賢一進学情報事業部長は、今後、コロナ禍が長引いたとしても、共通テストだけでの選抜は広がらないとみる。難関大や医学部を受験する志願者の多くは共通テストで高得点をとり、差がつきにくいためだ。「感染症が広がりやすい冬場の一斉試験だけでなく、推薦入試の拡大など幅広い選抜に本腰を入れていくべきではないか」と話す。土屋亮

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