地域での生活、支えるために 認知症フレンドリー講座

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 認知症になっても安心して暮らせる社会を目指し、朝日新聞社は2019年の創刊140周年事業として、認知症フレンドリープロジェクトを始めました。その中の、認知症に備え、認知症についてともに考える講座をご紹介します。

 ■「自分事」として学び、考える 認知症フレンドリー講座

 「認知症フレンドリー講座」は2019年4月のスタートからまもなく2年になる。自治体や企業、学校など200カ所以上で、約5千人が受講してきた。

 講座は、専門家の解説動画を交えながら、講師が認知症の基礎知識などを講義する。認知症の人のインタビュー動画もあり、「認知症になると何もできなくなると思われがち」「必要なことだけ手助けし、本人が自立して生活するためのサポートを」と訴える声を紹介し、周囲がどう寄り添ったらいいかなどを考えてもらう。

 朝日新聞社が独自に開発したVR(仮想現実)動画も特徴の一つ。空間の把握が難しくなって階段を恐る恐る下りたり、幻視で見えた子どもに話しかけたり、認知症の人の見えている世界を疑似体験してもらう。

 昨年12月には徳島県鳴門市で、櫛木ボランティア会(上原規志夫会長)が主催して同講座が開催された=インフォグラフの写真上。マスク、ビニール手袋の着用や会場の換気などの感染対策をして実施され、約30人が参加した。

 冒頭には飯泉嘉門知事があいさつ。県内の高齢化率の高さに触れながら、「県として率先して、認知症になっても住み慣れた地域で快適に暮らせるモデルをつくっていきたい。認知症を『自分事』として学び、身近な問題として恐れることなく前向きにとらえていただきたい」と話した。

 参加した主婦の盛井操さん(73)は、「認知症の人自身をちゃんと見て付き合うことが大切だと学びました」と話した。

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、昨秋からオンライン配信もしている。岐阜市民病院認知症疾患医療センターは昨年12月、市内の医療・福祉関係者向けの研修に採用し、約30人が視聴した。

 同センター相談員の村瀬智明さんは、「募集開始後、定員がすぐに埋まり希望が強かったことが印象的だった」と話した。視聴者からは「自宅にいながら認知症の人の思いが聞けてよかった」などの感想が届いているという。(坂田一裕)

 ■TRFが考案、ヒット曲に合わせ楽しく リバイバルダンス

 「認知症にやさしいまちづくり」に取り組む神奈川県藤沢市の主催で昨年9月、高齢者との交流拠点を運営する事業者向けに「リバイバルダンス」の体験会が同市内で開かれた。約20人がリズムに合わせてステップを踏んだ=同中、清水隆行さん撮影。

 リバイバルダンスは、エイベックスグループと朝日新聞社が共同で開発した。ダンス&ボーカルユニットTRFのSAMさん、ETSUさん、CHIHARUさんが振り付けを考案し、専門医理学療法士が監修。昭和や平成のヒット曲に合わせ、無理なく楽しく踊ることで、認知症などの高齢期の病気に備えることを目指している。今春にはDVDの発売を予定している。

 この日の曲は美空ひばりの「お祭りマンボ」。準備運動のあと、SAMさんが認定したプロダンサーの指導のもとで練習した。水分補給の休憩を取りつつ、1時間もすると、一曲を通して踊ることができるようになった。参加した能勢敏之さん(75)はダンス初挑戦。「丁寧な教え方だったので、頭もからだも動かせて、とても楽しかった。今度は孫と一緒に踊りたい」と笑顔を見せていた。(エイベックス・エンタテインメント 清水佳)

 ■子どもたちも協力者 認知症フレンドリーキッズ授業

 朝日新聞厚生文化事業団は「認知症フレンドリーキッズ授業」を創設し、これまで全国の小学校など12カ所で開催している。認知症の人が住み慣れた街で安心して暮らし続けられる「共生社会」の構築を願い、未来を担う子どもたちに地域の協力者になってもらうことを目指している。

 授業はテキストを読みながら認知症の症状や認知症の人と出会った時の対応を学び、小学生向けに制作したVR動画を視聴する。突然記憶がなくなる場面や、空間認識が欠落した感覚を再現した内容。最後は少人数に分かれて、認知症の人にやさしい店やサービスを話し合い、発表する=同下は、石川県珠洲市立上戸小学校の児童たち。後日、同事業団は、授業の様子を記念号外にして届けている。(朝日新聞厚生文化事業団 山本雅彦)

 <各講座、申し込み受け付け中>

 ■認知症フレンドリー講座

 【出張講座】

 感染防止対策をして実施します。団体が対象。90分が標準(応相談)。使うVR機器の台数によって、30台まで14万円、31~40台16万5千円。41台以上はご相談ください。別途、テキスト代(参加者1人当たり500円)、講師の交通費、機材配送費が必要です。

 【オンライン配信】

 講師が遠隔地から生中継する「ライブ配信」と、録画した講座を期限内ならいつでも視聴できる「オンデマンド配信」があります。

 ◆ライブ配信 企業や自治体、学校などの団体が対象。Zoomなどで視聴できます。価格は30人まで12万円、31人以上は1人当たり1千円を加算。原則、VR体験はありません。

 ◆オンデマンド配信 価格は1人当たり1千円。個人での視聴も可。団体受講には動画配信システム開設費用3万円が必要。

 【申し込み】

 ◆団体 公式サイト(https://dementiavr.asahi.com/別ウインドウで開きます)の「ご依頼・お見積もり・お問い合わせ」の申し込みフォームで。

 ◆個人 朝日新聞社の動画配信システムで登録が必要。クレジットカードでのお支払いになります。専用サイト(http://t.asahi.com/20921別ウインドウで開きます)で。

 【問い合わせ】

 メール(dementiavr@asahi.comメールする)で。

 ■リバイバルダンス

 団体が対象。60~90分が標準(応相談)。オンライン開催も可。1回のみ開催で30人まで15万円、31~40人16万円、41~50人17万5千円、51~60人21万円、61~70人24万5千円、71~80人28万円。80人以上はご相談ください。全12回(週1回3カ月間)や全48回(同1年間)のプランもあります。申し込み、問い合わせは、公式サイト(https://revival-life.jp/別ウインドウで開きます)の「お問い合わせ」フォームで。

 ◇講座とダンスをセットで申し込めば1割引きになります。

 ◇価格はいずれも消費税別です。

 ■認知症フレンドリーキッズ授業

 小学生が対象。原則無料ですが交通費などを負担いただく場合があります。問い合わせは、メールで朝日新聞厚生文化事業団(dementiafriendlykids@asahi-welfare.or.jpメールする)へ。

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