(書評)『動きだした時計 ベトナム残留日本兵とその家族』 小松みゆき〈著〉

有料記事書評

 ■日越に引き裂かれた父子つなぐ

 「私ノ父ハ、日本人デス」。1992年、在留邦人はまだ少ないベトナムで著者はその言葉に耳を疑った。父は、かつてこの地を占領し、敗戦後は現地で独立戦争に身を投じて家族をもうけた残留日本兵だった。ところが54年、彼らは突如帰国する。音信が途絶えるなか、帰還を待ちわびる妻…

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