(Timely)生まれた一体感、さらに プロアマの垣根 安藤嘉浩

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 憧れの先輩たちがアドバイスを送り、「一緒に頑張りましょう」と呼びかける――。

 日本高校野球連盟日本プロ野球選手会日本野球機構(NPB)の協力のもとでメッセージ動画を作製し、ホームページで公開している。タイトルは「未来へ向かう君たちへ」。12球団の監督、選手4人ずつと稲葉篤紀・日本代表監督の計61人が出演した。

 春の甲子園大会が中止になった3月、出場予定だった32校を励ましたいと、選手会が申し出たのがきっかけ。せっかくなら全国の球児を励まして欲しい。メッセージだけでなく、球児の質問にも答えましょうということになった。

 チャンスで考えることは?

 「特に考えていない。ゴチャゴチャ考えると甘い球を逃してしまう」(広島・鈴木誠也=東京・二松学舎大付)

 ピンチで考えることは? 

 「いい打者でも10回やって7回は失敗するという楽な気持ちで、完璧に抑えようとしない」(楽天・則本昂大=滋賀・八幡商)

 プロで活躍する先輩たちのアドバイスは、球児にとってこの上ない金言だろう。選手会は25日、日本高野連に1億円の寄付も送った。プロ志望の球児を対象にした合同練習会が特例で開催されることも決まった。

 新型コロナウイルスという難敵に立ち向かう中で、日本の野球界に、かつてないような一体感が生まれている。

 長く断絶されていたプロアマ関係は、この20年間でずいぶん改善されてきた。現役プロ選手がオフに母校で自主トレできるようになり、元プロによる高校野球指導の門戸も大きく開かれた。

 これを機に、さらに前に進めてはどうか。例えば、現役プロ選手は母校で自主トレできるものの、後輩と自由に接触できるわけではない。もうそろそろ、一緒に練習したり、直接アドバイスを送ったりしてもいいのではないか。

 先輩後輩の「一緒に頑張りましょう」という思いは今に限った話でなく、コロナ後もずっと変わらないのだから。

 もちろん、プロアマ双方で決めた選手獲得ルールを、互いに守ることが前提になる。日本高野連の八田英二会長も選手会の炭谷銀仁朗会長(巨人)と並んで会見した25日、「基本線をわきまえていれば、不必要な垣根は設けなくていいのではないか」と語っている。(編集委員)

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