言論、萎縮したくない 阪神支局襲撃事件から33年

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 朝日新聞阪神支局(兵庫県西宮市)で小尻知博記者(当時29)ら2人が殺傷された事件から、3日で33年になった。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、記帳・拝礼所の設置や支局3階にある事件資料室の一般開放はとりやめたが、小尻記者ゆかりの市民らが訪れ、遺影に手を合わせた。

 ▼5面=特集

 事件は1987年の憲法記念日の夜に起きた。散弾銃を持った男が支局に侵入し、発砲した。発生時刻の午後8時15分に合わせ、朝日新聞の社員らが黙祷(もくとう)を捧げた。

 支局入り口には午前9時から午後2時まで、訪問者のため祭壇が設けられた。訪れた熊倉直美さん(69)は、「新型コロナで何もかも中止になり、声をあげにくくなっている時こそ、言論の自由を考えたい。萎縮はしたくない」。大学生の時に小尻記者の取材を受けたという高校教諭の沼山尚一郎さん(56)は「外出自粛のご時世だが、事件の重みを忘れてはならない」と語った。

 広島県呉市川尻町にある小尻記者の墓では、朝日新聞の岡村邦則・大阪本社編集局長らが手を合わせた。新型コロナ対策のため、例年より墓参する人員を絞った。岡村編集局長は、新型コロナの感染拡大で社会に不満が蔓延(まんえん)し、根拠のないデマが人々の不安をあおる風潮があるとして、「事件を忘れず、言論の自由を守り抜く。他人のことをおもんぱかり、自由に話せる社会をつくっていかないといけない」と語った。

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