産地の泉大津市長、官邸に意義を説明 朝日新聞社通販サイトの布マスク、首相が会見で言及

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 安倍晋三首相が17日の記者会見で、朝日新聞社の通信販売サイトが2枚3300円で販売するマスクを取り上げたことについて、製造元の繊維メーカーがある大阪府泉大津市の南出賢一市長は22日、首相官邸を訪れた。SNSで価格に批判が出たことなどから、木原稔首相補佐官と面会し、マスク不足の解消に向けた同市の取り組みの意義を説明した。

 朝日新聞社が運営する通信販売サイト「朝日新聞SHOP」が販売していたのは、「繊維のまち」として知られる泉大津市の老舗繊維メーカー「大津毛織」の布マスク。南出氏らの呼びかけに応じ、マスク不足の解消を目指し手作りで製造、定価3300円(税込み)で販売していた。

 記者会見では、朝日新聞記者が全世帯へ布マスクを2枚ずつ配布する政策などに批判があるとして、質問した。これに対し、首相は「御社のネットでも布マスク3300円で販売をしておられたということは承知をしておりますが、つまりそのような需要も十分にある中において、我々もこの2枚の配布をさせていただいた」と答えた。

 首相の発言を受け、SNS上では価格に対する批判や、品質の良さを評価する投稿が相次いだ。

 南出氏は木原氏と面会後、記者団に対し、首相発言によって価格に批判が出たことなどについて「若干残念なところは当然ある」「現場のモチベーションがちょっと下がってしまった」と述べた。一方、大津毛織の布マスクについて「150回繰り返し洗っても使える」と品質の良さも紹介した。

 木原氏からは首相からのメッセージとして、「決してこの2枚3300円が高いと言っているのではなく、それだけの価値があるものだと、日本のものづくりの技術が結集されたものだと認識している」と伝えられたことを明らかにした。

 ■本社サイト、来月再開予定 緊急事態宣言前に受注停止

 朝日新聞社が運営する通信販売サイト「朝日新聞SHOP」は、一時的に受注を停止していた大阪府泉大津市の繊維メーカーが作った布マスクの販売を5月に再開する予定だ。

 マスクの販売は3月20日から始めた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大や4月7日に予定されていた政府の緊急事態宣言の影響で物流が滞ることが予想されたため、同SHOPはマスクも含めた全商品の受注を6日に停止。その後、物流が改善してきたため、同SHOPで販売を再開できる見通しとなった。

 マスクは裏表のガーゼの間に不織布や脱脂綿を挟んだ立体4層構造で、飛沫(ひまつ)が通過しにくく、繰り返し洗える耐久性を兼ね備えている。

 同SHOPはホームページで「ものづくりへの志を高くかかげるメーカーのみなさまと提携し、お客様によい商品をお届けすることに尽力してまいります」とコメントした。

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