よみがえる、青春の夢・家族への愛 「ニッポン写真遺産~思い出まるごとスキャン~」

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 朝日新聞社が運営するアルバム・写真デジタル化サービス「ニッポン写真遺産」。まもなく事業開始から2年を迎え、累計受注枚数は300万枚を突破しました。今回、2人のお客様から寄せられた印象深い写真と、そのエピソードを紹介します。(樋口慶)

 ■キャリアの原点、小百合さんのブーケ テレビ局で装花の仕事、お金ため渡米し修業

 長年フラワーデザイナーとして活動してきた、名古屋市千種区の滝公子さん(72)。アルバムには、キャリアの原点となる50年前のテレビ局での仕事が収められていた。

 大阪市旭区出身の滝さんは、短大生時代にフラワースクールに通い、卒業後に1年ほどOLをした後、念願の花屋に転職。その店は朝日放送(現朝日放送テレビ、同市福島区)の装花を担当しており、滝さんは1970~71年に同社ロビーやスタジオで花を飾った。

 アルバムには、鮮やかで存在感のあるロビー用の作品のほか、バラエティー番組「シャボン玉寄席」「ただいま恋愛中」のスタジオ装花の写真が並ぶ。その中に、ウェディングドレス姿の女性の写真があった。俳優の吉永小百合さんだ。手にしているブーケを滝さんが作った。

 朝日放送テレビによると、吉永さんは71年に放送されたドラマ「白雪姫と7人の悪党たち」に主演していた。吉永さんのイメージから、白いシャクヤクを使ったという滝さん。「私の作ったブーケを大スターの小百合さんが持ってくれるんですから、それはもう感激でしたよ」

 同じアルバムには、百貨店の催事場の装花の写真も収められていた。この時期、複数の仕事を昼夜で掛け持ちし、寝る間も惜しんで働いていた。米国留学の夢をかなえるためだ。「朝日放送での仕事は本当に面白かった。でも、この道を究めるには世界に出て行くしかないと思ったんです」

 このときの蓄えをもとに、滝さんは71年夏、単身渡米する。23歳のときだ。

 まずシカゴのフラワースクールで勉強した後、ロサンゼルスのビバリーヒルズにある花屋で実地研修を積んだ。採用の決め手になったのが、持参したアルバムだった。大阪での作品を見せることで「お稽古ごとではなく、仕事で花をやってきたというのが理解してもらえました」。

 場所柄、セレブの集う大きなパーティーの仕事も多く、すべてが貴重な体験となった。ビザの期限まで1年間を米国で過ごした。

 帰国後、結婚して名古屋市に移り住み、子育てが一段落してから仕事を再開した。87年にフラワースクールを併設したブティックを開業。89年には、同市で開かれた世界デザイン博覧会に、約50人の教え子と制作した巨大なフラワーアートを出品し、注目を集めた。

 10年ほど前に仕事の第一線を退いた滝さん。キャリアの原点となった大阪での修業時代をこう振り返る。「頑張れたのは、夢があったから。精いっぱい努力していれば、応援してくれる人が必ず出てくる。今の若い人も、夢を持って世界へ飛び立ってほしい」

 ■写真好きの父、闘病支えた母

 路面電車の屋根に降り積もった大雪昭和20年代の京都駅前の珍しい光景を収めたアルバムには、若年性認知症と向き合った家族の思い出も詰まっていた。

 アルバムの持ち主は、京都市下京区の熊田泰子さん(65)。この写真は、父の伊藤俊二さんが、京都市電の京都駅前停留所で撮影した。市中心部で観測史上最大の積雪41センチを記録した1954(昭和29)年1月26日の朝の模様だ。この日の積雪記録は66年たった今も破られていない。

 俊二さんは28年生まれ。自宅の暗室で現像するほどの写真愛好家だった。特に鉄道写真が好きで、京都市電をよく撮影していた。しかし、市電は78年9月に廃止された。

 その数年後、俊二さんは50代前半で若年性認知症を発症する。当初は診断を受け入れなかった俊二さんだが、妻清子さんとともに、80年に発足したばかりの、当事者とその家族が集まる会に参加。支援を受けるようになった。

 その会は、のちに公益社団法人「認知症の人と家族の会」(本部・同市上京区)となり、現在は全国に1万人以上の会員がいる。

 会の草創期を知る京都府支部副代表の山添洋子さん(75)は「当時、まだ若年性認知症は広く知られておらず、偏見もある中で、清子さんが実名で取材に応じていたのを覚えている」と話す。清子さんは、俊二さんが92年に他界してからも、しばらく会での活動を続け、2012年に亡くなった。

 熊田さんは、そんな両親の写真などアルバム計7冊分をデジタル化した。画像データにすれば、妹と弟に同じものを複製して渡せるからだ。

 この機に両親のアルバムを見返した熊田さん。闘病の苦労がしのばれる写真もある一方で、「自分たち子どもへの深い愛情が込められた写真が多いことに気づかされます」と話す。「改めて両親には感謝の気持ちでいっぱいです」

 ■お宝写真展、来月大阪で

 ニッポン写真遺産のサービス開始2周年を記念した「みんなのお宝写真展」を4月に朝日新聞大阪本社で開催します。2月22日~3月6日には東京本社で開催していました。

 当サービスに寄せられた写真のうち、この1年間に朝日新聞紙面などに掲載された、歴史的に貴重な写真、印象深いエピソードが込められた写真など約30点をパネル展示します。

 ◇4月4日[土]~12日[日]、大阪市北区中之島フェスティバルタワー13階スカイロビー。観覧自由。

 (新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、延期または中止する可能性もあります)

 ■春のキャンペーン実施中

 当サービスでは、納期4カ月の「標準コース」を税別3万円以上ご利用の際に、同3千円が割引となる「標準コース限定! 春の写真整理キャンペーン」を実施中です。3月31日までにお申し込みいただいたお客様が対象です。詳しくはコールセンターへ。

 ■4千枚が1枚のDVDに

 「ニッポン写真遺産」は、アルバムやプリント写真をお預かりしてスキャンし、画像データと一緒にお返しするサービスです。

 デジタル化すれば、約4千枚のL判写真が、パソコンで閲覧できるDVD―Rディスク1枚に。部屋の片付けやお子さんへの引き継ぎに便利です。自分史作りの準備にも最適。スマホで思い出を持ち運ぶこともできます。詳しくは下記へ。

 ◆ウェブサイト

 https://shashin-isan.asahi.com/別ウインドウで開きます

 ◆コールセンター

 東京03・6868・8255

 大阪06・7878・6588

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