(EYE モニターの目)今月のテーマ:モニターになって気づいたこと

EYE モニターの目

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 ■時時刻刻・考論に読みごたえ

 記事のバランスの良さ、内容の密度の濃さ、時時刻刻や考論など理解を深めるための仕掛けを改めて実感できた。社会、経済、政治、国際と偏りなく掲載され、事実を淡々と報道するのではなく、その背景や課題についてもしっかり報じられている。時時刻刻は基本、1面を受けたものだが、深層がよく分かる構成になっており、読みごたえがある。考論は専門家の多角的な視点から事案を理解することができ、自分の考えを整理するきっかけになっている。(日向達 56歳 東京都)

 ■記者の顔が見える記事を

 紙面モニターや読者から寄せられた意見に対する記者の考えや意見をもっと報じてほしい。朝日新聞は「ともに考え、ともにつくるメディア」という方針を打ち出しているが、読者と「対話」する記事が少ないように感じている。投書や各種の読者の意見に対して、記者がもっと自由に発信してもよいのではないだろうか。社説やコラムだけではなく、様々な紙面で、一人ひとりの記者の「顔」が見えるような記事を期待している。(篠原泰子 33歳 東京都)

 ■投書欄増やすと読者増にも

 これまでは、わずかな時間での斜め読みが多く、記事の見出しだけで、好きか興味のある記事だけを選別しながら読んでいたと思う。しかし、モニターとなり、いずれの記事も磨き抜かれた内容になっていることがわかった。そうした中、読者が投稿する「声」欄の内容のレベルが高いのに驚いた。投稿者の意識の高さや文章力がいずれも秀逸で、感心している。こうした投稿欄を拡大することが、読者を増やしていくことにつながるのではないだろうか。(横田浩 60歳 島根県)

 <読者の目線を知る道しるべに>

 デジタル媒体の発信が年々増えていますが、事実を求めて取材に走り、得られた情報の真偽を確かめ、原稿に仕上げるという新聞記者の仕事の根幹はいまも昔も変わりません。事実と主張が同じ記事に混在するのを避け、「考論」やコラムなどで多様な見方を紹介することは、ニュースをより客観的に、あるいは相対化して伝えるために大切な作業と考えています。

 いま、人の手を介した記事は信用できないという声が聞こえます。記者の価値観によって報道内容が偏るのではないかという疑念が背景にあります。「ポスト・トゥルース(脱真実)」や「フェイクニュース(偽ニュース)」という言葉も飛び交い、報道への信頼をどう確保するかがメディアの大きな課題になっています。

 そういう時代だからこそ、記者の「顔」が見える確かな記事が読者と記者の距離を縮め、信頼を増すことにもつながると考えます。「声」欄の投稿や「紙面モニター」の意見は、新聞の作り手に読み手との結びつきを意識させ、読者の目線を知る道しるべとなっています。

 今年もご愛読をよろしくお願いします。(ゼネラルエディター兼東京編集局長・佐古浩敏)

 ■紙面モニターとは

 紙面モニター制度は2006年に始まり、13年続いています。モニターは300人。任期は半年。150人ずつの2グループに分かれて、交互に2週間に1度ずつ、報道内容に対する率直なご意見をお寄せいただいています。その概要版を編集部門と、社内外の4人で構成するパブリックエディター(PE)に届けているほか、全文を社内に開示しています。年3回程度開く「あすへの報道審議会」では、テーマを設けてPEと本社側が議論しています。紙面モニターの経験者が読者代表として参加したこともあります。

 このほか、紙面モニター経験者の中から、記事が出た直後にご意見をいただくクイックモニター(約80人)もお願いしています。これらのご意見は、記事審査室が毎日発行している社内向けのリポートに掲載しています。

 両モニターからの声の数々が、その後の報道の改善やPEによる提言のもととなっています。モニターは毎年2月と8月の年2回、募集しています。

 ◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています。

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 公募で選んだ300人の読者の皆様に「紙面モニター」をお願いし、毎週、お寄せいただく意見の一部を紹介します。この欄は、編集局との「対話」の場を目指しています。紙面モニターの意見に対し、編集局の担当部署の責任者が答えます。

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