(書評)『小箱』『約束された移動』 小川洋子〈著〉

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 ■楽器や書物から聞こえる死者の声

 死者たちは生きている。長篇(ちょうへん)『小箱』で、語り手は幼稚園に住んでいる。ここにはもう園児はいない。いるのは彼女だけだ。

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 でも孤独ではない。ガラスの箱がずらりと並んでいて、その中には死んだ子供の魂がいる。この町で子供が亡くなると、その髪の毛は人形たちの頭…

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