関税戦争受けて立つ中国、クリスマス用品の「源流」で見た強気の理由

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義烏=井上亮
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 米中が互いにかけ合っていた高関税の引き下げで合意し、90日間の「停戦」に入った。中国が「とことん戦う」姿勢を貫けるのはなぜか。米国民にとって欠かせないクリスマス用品を中国から送り出す製造・販売の取材で、その背景が見えてきた。

 中国東部の浙江省義烏市にある「義烏国際商貿城」。日用品や雑貨、衣料品などあらゆる商品を扱う世界最大級の卸売市場だ。4月中旬、五つの巨大ビルからなる広大な市場を歩くと、その一角から「ジングルベル」などの季節外れなクリスマスソングが聞こえてきた。

【連載】閉じゆく世界 トランプ関税の現場から

トランプ米政権が一方的に高率の関税を課す「トランプ関税」が、世界を揺さぶっています。戦後の自由貿易体制のもとでモノをつくり、取引してきた現場ではいま、何が起きているのか。各地の特派員が報告します。

 このエリアではツリーや装飾品サンタクロースなどのコスプレグッズなどクリスマス用品が売られている。ツリーを販売する女性店主は、「米国の顧客は多くはないが、一部でキャンセルや注文の一時停止があった」と明かす。商品は自社工場で生産するが、受注減で一部生産を止めているという。クリスマス関連の店舗を回ると、他にも「米国向けの10~20%の商品がキャンセルされた」といった声が聞かれた。

対中関税の影響で米国にクリスマス用品が売れなくなり、中国の業者は困っているのでは。そう思ってクリスマスグッズの「ふるさと」に入った記者は、意外な現状を目にしました。

 ただ、ほぼ全ての店舗で、米…

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この記事を書いた人
井上亮
中国総局|政治外交担当
専門・関心分野
中国社会、人口減少、移民