ロシア提案の交渉「前向きな兆候」とウクライナ 溝深く実現は不透明

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ローマ=宋光祐
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 ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は11日、「ウクライナ政府に対し、同国側が2022年に中断した直接交渉を15日に再開することを提案する」と表明した。これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は「前向きな兆候だ」と一定の評価をしたが、交渉や停戦の進め方について双方の隔たりは大きく、実際に再開するかは極めて不透明な状況だ。

 プーチン氏は同日未明の記者発表で、以前に交渉が行われたトルコ・イスタンブールで交渉を再開したい意向を表明。その目的を「紛争の根本原因を排除し、歴史的な視点に基づく長期的な平和を確立することだ」とし、「新たな停戦合意の可能性も排除しない」と発言した。ただし、ウクライナの中立化、非武装化といった従来の主張では妥協する考えがなく、停戦の前に交渉が必要だとの姿勢だ。

 一方、ゼレンスキー氏は同日のX(旧ツイッター)への投稿で、「ロシアが戦争の終結を検討し始めたことは前向きな兆候だ。世界中が長い間これを待っていた。いかなる戦争も終結させるための最初のステップは停戦だ」と述べた。

 ウクライナと英仏独首脳らが求める「12日からの30日間の無条件の全面停戦」に、ロシアが応じることが直接交渉の前提条件だとしており、ロシアとは逆の立場だ。ウクライナのイエルマーク大統領府長官もSNSで「まずは30日間の停戦。他のすべてのことはその後だ」と投稿。ロシアが停戦を受け入れない限り、直接交渉には応じない姿勢を示しており、両者の主張は平行線だ。

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この記事を書いた人
宋光祐
パリ支局長
専門・関心分野
人権、多様性、格差、平和、外交
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