公害被害の伝承、役割増す「モノ」の力 保存担う民間に薄い公的支援

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今村建二

 公式確認から69年を迎えた水俣病。患者の高齢化が進み、公害の歴史を実体験で語れる人が限られてくる中、遺構や写真、当時の資料といった「モノ」の重要性が増している。保管を担う民間団体は資金や人材の確保が悩みだが、公的な支援は十分ではない。

 熊本県水俣市の水路の前に4月下旬、木村敬知事や環境省幹部、胎児性水俣病患者ら約50人が集まった。水路にある百間(ひゃっけん)排水口の四つの樋門(ひもん)の新調を祝った。

 加害企業チッソが有機水銀の含まれた工場廃水を海に垂れ流した現場で、水俣病「原点の地」とされる。

 樋門は老朽化で過去に何度か…

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この記事を書いた人
今村建二
水俣支局長|水俣病・環境担当
専門・関心分野
地方政治、環境