トランプ氏「もう一つの圧力」に日本沈黙 法の支配に弁護士ら危機感

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森下裕介
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 トランプ米大統領が「国際刑事裁判所」(ICC)の検察官に制裁を科した大統領令について、日本の弁護士たちが批判の声を上げ始めた。弁護士たちを突き動かしたのは「政治による司法介入」への危機感だった。

 最も早く声を上げたのは、大阪、愛知県の両弁護士会だった。大阪弁護士会は、3月7日に発表した声明で大統領令について、「ICCに対する制裁は、司法の独立、法の支配そのものを否定しかねない」と批判した。

 東京弁護士会日本弁護士連合会なども相次いで声明を発表し、大統領令を撤回するために日本政府が各国に働きかけるべきだと訴えている。

 オランダ・ハーグにあるICCは、集団殺害(ジェノサイド)罪や侵略犯罪などを行った疑いのある「個人」を捜査・訴追する検察官と、それを裁く裁判官で主に構成されている。国連から独立した組織で、戦争犯罪の抑止を目的とする。

 裁判官は18人いて、トップの所長には、元最高検検事の赤根智子氏が日本人として初めて就任した(任期は2027年まで)。

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この記事を書いた人
森下裕介
東京社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、刑事政策、人権
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    南野森
    (憲法学者・九州大学法学部教授)
    2025年4月26日16時2分 投稿
    【視点】

    国際法であれ国内法であれ、多くの人が従わなくなれば法の実効性は失われます。そうならないためにも、とりわけ国際法においては各国における草の根の運動は重要な意義をもつと言えるでしょう。このような声をあげておられる方々に敬意を表し、連帯したいと思

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    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2025年4月27日19時12分 投稿
    【視点】

     日本の外交当局が真剣なのは、国際機関における日本(人)のプレゼンス(存在感)かなと思います。人権と戦争犯罪の防止が優先事項であったことは一度もないのかもしれません。  いまは米国に睨まれる一切を忌避するのでしょうね。それこそ優先事項なので

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