プーチン氏、「侵攻停止」を米国に提案か 現在の前線で 英紙報道

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ロンドン=藤原学思
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 ロシアのプーチン大統領が米国に対し、ウクライナ侵攻を現在の前線で停止する提案をしたと、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が22日に報じた。米国は、ウクライナ領クリミア半島を「ロシア領」として承認する可能性に触れた和平案を示しているという。

 FTによると、プーチン氏は11日にロシアでウィトコフ米中東担当特使と会談した際に提案した。ロシアはこれまで2022年9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東部、南部の4州全域からウクライナ軍が撤退することを求めてきたが、4州内のウクライナ支配地域については、領有権の主張を放棄する可能性も示したという。

 ロシアが要求を後退させる姿勢を示したことが明らかになったのは初めてとみられ、米国から最大限の「見返り」を得たい考えが透ける。

 仲介する立場として停戦交渉を急ぐ米国はこれに対し、ロシアが占領する4州内の地域の実効支配も認める可能性を含んだ和平案を作成。欧州による平和維持部隊のウクライナへの派遣にも言及があるという。

 米メディア・アクシオスによると、米国の考えはウクライナにも示され、文書の1枚目にはトランプ米大統領の「最終提案」と記されている。

 ただ、現状案はロシアに圧倒的に有利で、ウクライナが求める米国からの「安全の保証」も約束されていない。そのため、ウクライナが受け入れる公算は小さい。

 また、ウクライナにとって…

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2025年4月23日10時49分 投稿
    【視点】

    ロシアが、今のところ占領すらしていないエリアの「領有権」を放棄したとしても、それは譲歩でも何でもない。もっとも、米トランプ政権が「これはプーチン大統領の善意だ」などと受け取り、ウクライナに受入を求めかねないのが、怖いところではあるが。 現占

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