無資格X線、2病院が認める 医師の指示「なかった」「覚えてない」
医療機器メーカーの社員らが手術中、無資格で他社製のX線装置を操作していた問題で、二つの病院が朝日新聞の取材に対し、同社員がX線を患者に照射したことを認めた。医師の指示については「なかった」「(医師本人が)覚えていない」と説明した。
無資格操作は診療放射線技師法に違反する。両病院は保健所などに通報するという。健康被害は「確認されていない」などとし、対象の患者に謝罪する意向を示した。
メーカーは「ニューベイシブジャパン」(東京都中央区)。同社はこれまでの取材に、朝日新聞が指摘した営業担当者4人について「X線装置を操作したことを確認した」としていた。
朝日新聞は、この4人が計5病院でX線装置を操作したという情報を得て、各病院に対し、日付や医師名、同社の社員名などを挙げたうえで事実関係を尋ねた。その結果、関西医科大学総合医療センター(大阪府守口市)と横浜新緑(しんみどり)総合病院(横浜市緑区)が事案を認めた。
医師「1年近く前で思い出せない」
関西医科大は医師に確認したとして回答。「メーカー担当者が放射線照射スイッチを押した」と説明した。医師は「指示していない」と話しているという。横浜新緑は、放射線を照射したことを同社員が病院の聞き取りに認めたと説明。「社員と医師へのヒアリングから事実であると思う」とした。指示について医師は「1年近く前のことで思い出せない」と話しているという。
和歌山県立医科大学付属病院(和歌山市)は「社員が手術室に入室したことは事実」「内容は現在調査している」と回答。兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)は調査中で、「監督官庁から協力依頼があった場合には適切に対応する」とした。他に大阪府内の病院は「当該の医師らに聞き取りしたが、無資格者の照射があったという報告はない」「無記名アンケートを実施中」と答えた。
関係者によると、同社の営業担当者は他の病院でも同様の行為をしていたという情報がある。同社は外部弁護士による調査を進めている。
医療機器メーカーの営業担当者が手術室内に立ち入ることは、自社の機器の説明や不具合確認などに限って認められているが、他社製品の操作などは違法行為にあたる。厚生労働省によると、医療従事者以外による医療行為を原則禁じる医師法にも抵触する疑いがある。
- 【視点】
氷山の一角でしょう。放射線技師を手術室に配置する余裕のある医療機関は多くないので、手術を円滑に行う為には病院全体の暗黙の了解で、資格のない人物がX線装置の操作を行っていることは、あまり珍しいことではないと思います。医師にしてみたら誰かしらが
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