小説を読解に使うのはNG 教科書の編集委員が明かす文科省の姿勢

有料記事

氏岡真弓

 2026年度から主に高校1年生が使う教科書の検定では、評論や実用文を扱う「現代の国語」で小説を掲載する教科書が半数にのぼった。そのうちの1社、筑摩書房の「現代の国語」で編集委員を務めた紅野謙介日本大学名誉教授(69)に、小説の掲載に踏み切った理由などについて聞いた。

 前回の教科書検定は、今の学習指導要領下での最初の検定だった。文部科学省が指導要領の解説を説明したとき、「現代の国語」は実用文や評論を扱う科目で、小説を入れないと言っていた。

 ところが、小説を5点入れた第一学習社の教科書が合格し、他の会社が怒ると、今度は文科省は「小説を全部禁止しているわけではない」と言いつくろった。

 そんないきさつがあったので、各社が今回、小説にチャレンジすることは見えていたことだ。筑摩もそのうちの1社だった。

小説に時間割けない「言語文化」

 まず考えたのは、生徒のこと…

この記事は有料記事です。残り1791文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
氏岡真弓
編集委員|教育分野担当
専門・関心分野
教員の働く環境、教員不足、子どもの学び
  • commentatorHeader
    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2025年4月29日21時5分 投稿
    【解説】

    本記事は、かなり攻めた内容です。よくここまで氏岡記者は聞けたと思いますし、よくここまで紅野先生は話されたと思います。ふつうここまで教科書著者・教科書会社と文科省の教科書調査官の間の「攻防」が記録されることはあまりないと思います。文科省側もか

    …続きを読む