杉良太郎さん、55年前の後悔 「結婚できない」語った被爆女性捜す

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榧場勇太
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 〈1970年に大浦天主堂近くの坂道の途中にあった小料理屋でお会いしたおかみさん。お元気であれば、一目お会いしたいと長年思っておりました。当時の記憶や情報も少なく難しいとは思いますが、少しでも情報をお持ちの方の連絡をお待ちします〉

 ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が発行する機関紙に3月、「さがしています」と題した記事が掲載された。

 長崎で出会った被爆者を捜しているのは、俳優の杉良太郎さん(80)。55年前のできごとを忘れられずにいるのは、長年、人に話せなかった被爆地での二つの後悔があったからだ。

 杉さんは70年5月ごろ、被爆地を慰問するため長崎を訪れた。大浦天主堂を訪問し、近くの店で昼食をとった。坂の途中にあり、自宅の一部を店にしたような小料理店だったという。

 店は、当時25歳だった杉さんより少し年上の女性が切り盛りしていた。杉さんは思わず、「ご結婚されていますか」と尋ねた。

杉さん、自分のことが「情けない」

 女性は杉さんを別室に呼び…

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この記事を書いた人
榧場勇太
長崎総局
専門・関心分野
平和、国内政治、地方自治、沖縄
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    富永京子
    (立命館大学准教授=社会運動論)
    2025年4月19日11時21分 投稿
    【視点】

     この記事を読んで思い出したのは、脱植民地化運動で用いられる「共約不可能性」という概念です。マイノリティや社会的弱者を傷つけてしまった人々が、その過ちへの後悔の念と共に支援活動をする実態はよく見られ、杉さんのお話にもそれと近いものを感じまし

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