現存するのは三つだけ 曜変天目、下から見ると… 最新研究で迫る謎
弓長理佳
つやめく黒い釉(ゆう)に、銀河のような斑文が浮かぶ国宝の茶わん「曜変天目」。最新研究をもとに謎に迫り、黒色をテーマに東洋の焼き物や工芸品を集めた展覧会「黒の奇跡・曜変天目の秘密」が、静嘉堂文庫美術館(東京・丸の内)で開かれている。
天目とは、抹茶を飲むための茶わんのなかでも最も格式高いものを指す。同館所蔵の曜変天目は、南宋時代(12~13世紀)の中国・福建省の建窯(けんよう)という窯でつくられ、禅や喫茶文化とともに伝来。現存するのは日本に伝わった三つのみで、いずれも国宝に指定されている。
青い光彩は偶然の産物か、意図的に生み出されたのか。
曜変天目の最大の謎だが、2023年に発表された日本の最新研究によると、大阪の美術館にある曜変天目を分析した結果、斑文は青の彩色をしているわけではなかった。茶わん表面の微細なしわが、特定の波長の光を反射することで青く見える「構造色」だという。
一方、中国では現地で出土し…