iPS細胞から作った心筋シート、承認申請 世界初の治療に一歩

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 重い心不全患者の治療で移植する様々な組織になれるiPS細胞からつくった心臓の筋肉のシートについて、大阪大学発のベンチャー「クオリプス」が、再生医療製品としての製造販売承認の申請をした、と8日発表した。承認されれば、iPS細胞を使った世界初の治療法となる。

 阪大などの研究チームは、心臓の太い血管が詰まり、心筋がはたらかない「虚血性心疾患」による重い心不全の患者に対し、他人のiPS細胞からつくった心筋シートを移植する治療を開発してきた。心筋シートから分泌される物質により、心臓の血管を再生させることなどをねらう。

 2020年から大阪大病院や九州大病院などで計8人の患者に移植する医師主導治験を実施してきた。少数例でも効果があることが推定できれば、「仮免許」のような形で製造販売を承認する「条件・期限付き早期承認制度」を利用する。

 研究を主導する大阪大の澤芳樹特任教授は「治験で移植した細胞の安全性を確認することができた」としたうえで、「iPS細胞ができて約20年が経ち、患者に届けるための大きなステップだ。新しい治療を世界に普及させ、多くの人の命を救いたい」と話した。

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