旧統一教会、解散後の財産帰属先を「天地正教」と決議 2009年に
東京地裁から解散を命じる決定が出ている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、解散した場合に残る財産の帰属先を北海道帯広市の宗教法人「天地正教」と2009年に決めていたことが分かった。旧統一教会の被害者を支援する弁護団は、教団解散後も活動が別の宗教法人に引き継がれて事実上存続する可能性を指摘する。
宗教法人法によると、宗教法人は解散時、裁判所が任命する清算人が債務弁済などの清算業務にあたり、残余財産があった場合は、教団の規則に従って引き渡される。
財産の帰属先に関しては、解散を命じた東京地裁の決定に書かれていた。それによると、旧統一教会は09年6月に責任役員会で、残余財産の引き渡し先を天地正教と決議した。直前に、教団信者が社長を務める印鑑販売会社をめぐる事件で、会社事務所が捜索を受けるなどしていた。
天地正教は1987年に設立された。地裁の決定によると、旧統一教会の元信者らが訴え、同教団の損害賠償責任が認められた民事訴訟判決で、献金先と認定されたこともあった。
全国統一教会被害対策弁護団の阿部克臣弁護士は、解散後に教団の活動が別の法人に引き継がれ、税優遇などを受けながら存続する可能性を指摘。残余財産が別法人に引き渡されることで、「清算後に被害を訴えても救済が難しくなる」と課題を指摘する。
地裁の決定によると、旧統一教会は、2015~22年度に献金などで年平均約409億円の収入があり、22年度末時点の「総資産」は約1181億円だった。阿部氏は、23年成立の被害者救済法に包括的な財産保全規定が盛り込まれなかったこともあり、解散前に天地正教を含む国内外の関連団体に「財産が移される可能性が高い」とも指摘した。
法人登記簿によると、天地正教は目的を「弥勒菩薩(みろくぼさつ)を本尊として、教義をひろめ(る)」などとし、代表役員は東京都内居住となっている。
旧統一教会の田中富広会長は3月27日の記者会見で、09年の教団の決議について「承知しています」と認めつつ、「解散後の資産については、いま私たちはそれどころじゃない。(安倍晋三元首相が銃撃された)事件後、解散後の財産が議題になったことは一度もありません」と答えた。
また、教団の佐藤進広報局長は両法人について「互いの理念に共鳴する友好団体で、人事交流などの関係はない」と述べた。09年の決議については「当時の具体的な記録はなく、どんな経緯で(天地正教を)指定したのか、詳細はわからない」と話した。
- 【解説】
宗教法人「天地正教」については、3/25東京地裁の旧統一教会解散命令決定文のなかに、解散後の財産の帰属先として2009年時点で記載があったことから、諸報道が相次ぎました。ただし、同教団についてはすでに80年代からいわゆる「霊感商法」の入口と
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