新しい監査委員はプロの将棋棋士 市長「卓越した分析力」に期待
大久保直樹
プロの将棋棋士が行政をチェックします――。
兵庫県加古川市は1日、新しい監査委員に同市出身で在住のプロ将棋棋士、船江恒平七段(37)を選任した。任期4年の非常勤特別職で、行政事務が適正に行われているかをチェックする。同市で棋士が監査委員を務めるのは初めて。
船江七段は小学5年生で奨励会に入り、井上慶太九段の門下となった。県立加古川東高校を卒業後、2010年にプロデビューし、翌年の第1期加古川青流戦で優勝。21年には公認会計士試験に合格し、県外の監査法人に勤めながら棋士を続けている。
1日に市役所で辞令交付式があり、米国公認会計士の資格を持つ岡田康裕市長は「日本の公認会計士試験は本当に難しく、誰よりも会計に精通しているレベルだ」と選任理由を説明。「卓越した分析力を生かし、対局と同じような真剣勝負で細かいところまで指摘していただけたら」と激励した。
船江七段は報道陣に「5歳からずっと将棋をやってきたので、違う世界も見たかった。(監査業務の)経験が少ないのでフットワークを軽くして、お世話になってきた市に恩返ししたい」と話した。