20年撮り続ける企画なのに…8年分の写真データ、市職員が全て削除

臼井昭仁
[PR]

 「同じ場所、同じメンバー、同じポーズで年1回、20年撮り続ける」。そんな条件で、愛知県半田市が市民から写真を集める事業で、市職員が誤って事業開始から8年分のすべてのデータを削除していたことがわかった。

 この事業は、2037年の市制施行100周年に向けた市の記念事業「おもひでフォトフォト」で、市の歩みを紹介する写真展を37年に開くため、17年度から始めた。

 応募した市民は毎年、同じ場所で同じ家族らと撮ったデジタル写真のデータを市へ送っていた。その中には、家族が増えていく様子なども収められているといい、現在17組の市民が事業に参加しているという。

 だが昨年11月、職員がパソコン内のフォルダーの整理作業中、保存していたデータ(応募者のコメントを含む)に気づかず、17~24年度の8年分の17組のデータを削除してしまったという。翌月、担当職員が過去のデータがなくなっていたことに気付き、業者にも頼んで復元を試みたもののできなかった。

 市は応募者に謝罪するとともに改めてデータを送るよう依頼。17組のうち9組は同じ写真を再送。8組からは再送を待っているか、データが残っているか確認してもらっているという。

 市は事業として続ける方針。市企画課の担当者は「これまでの労力を奪うことになり申し訳ない。別の媒体にも保存するなど再発防止策は取った」と話している。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
臼井昭仁
半田支局長
専門・関心分野
農林水産業、運輸、過疎問題
  • commentatorHeader
    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2025年3月27日11時19分 投稿
    【視点】

    バックアップは取っていなかったのか? 再発防止策としてバックアップに触れているので、おそらくしてなかったのだろう。だとすると、デジタルデータを扱う際の基本ができていなかったと言わざるを得ない。ミスの頻度を下げることはできるが、ゼロには決して

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    インベカヲリ★
    (写真家・ノンフィクションライター)
    2025年3月27日13時47分 投稿
    【視点】

    ついうっかりで、簡単に消えてしまうのがデータだ。パソコンを共有していて、職員の入れ替わりがあれば、なおのことを慎重に扱わなければいけない。 ハードディスクやメディアは突然壊れるということもよくあるし、同時にデータ流出も防がないといけない。

    …続きを読む