広瀬めぐみ前議員に有罪判決 秘書給与358万円詐取罪 東京地裁

横山輝
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 勤務実態のない公設秘書の給与を国からだましとったとして詐欺罪に問われた前参院議員・広瀬めぐみ被告(58)=自民党を離党、議員辞職=の判決公判が27日、東京地裁であり、石川貴司裁判長は「現職の参院議員が公金をだましとった悪質な犯行」として懲役2年6カ月執行猶予5年(求刑懲役2年6カ月)を言い渡した。

 判決によると、広瀬前議員は2022年12月から23年12月、公設第1秘書の妻を公設第2秘書と届け出たが勤務実態がなく、計358万円の秘書給与や退職手当を国からだましとった。

 広瀬前議員は、詐取金のうち秘書から受け取った262万円を「政治活動に使った」として情状酌量を求めたが、判決は「結局は身銭を切って私財を減らすことを惜しんだ」とし、「動機にくむべき点はない」と批判した。

 判決は、広瀬前議員が当初、娘に名義借りを打診したが、夫から違法性を指摘されて断念した経緯にも言及。「弁護士資格を有することも考慮すると、経緯はあまりに浅はかであり強い非難が妥当する」と述べた。

 また、広瀬前議員は2月にあった被告人質問で「公設第1秘書から給与詐取を提案された」と述べたが、判決は、それ以前に娘に名義借りを打診していたことや詐取金全体の約7割を受け取っていたこともふまえ「主犯は広瀬前議員」と認定。23年7月に報道機関が取材を進めていることを察知し、「秘書に勤務実態があるかのように取り繕った」として「偽装工作に及んだ点も非難に値する」と述べた。

 公設秘書の給与詐取事件は、00年代前半までに辻元清美・前衆院議員(当時。現在は参院議員)が逮捕されるなど相次いだ。このため、議員の配偶者の採用禁止や秘書への直接給与支給などを盛り込んだ改正国会議員秘書給与法が04年に成立した。

 広瀬前議員の事件は法改正後、初めて立件された例とみられる。

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