引きこもり支援の施設がカフェ開設の資金募る 20日にマルシェも
生きづらさを抱えて引きこもる若者らの就労を支援する「学び舎(や)めぶき」(長野市)が、市内で移転してカフェを開こうと、500万円を目標にクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。利用者に社会とつながる体験をしてもらおうと、20日には菓子やアクセサリーなどを販売するマルシェを市内で開く。
めぶきは2021年12月、長野市川中島町の民家でオープンした。中学や高校を卒業してから引きこもった若者や、不登校の小中学生らの居場所になり、これまでに約100人が利用登録した。学校を通じた相談も増え、24年4月には小中高校生を対象にした2カ所目の拠点(長野市篠ノ井二ツ柳)を設けた。
利用者はまず、生活リズムを整え、めぶきに安定して通えるようになることをめざす。現在の利用者は、1日平均10人前後。めぶきで勉強して過ごすほか、畑仕事や料理、手芸などの体験ができる。「利用者の仕事や役割をつくることで、社会のなかで生きていく練習ができれば」と永井佐千子代表(48)は話す。
永井さんによると、生きづらさを抱えて引きこもっても、福祉サービスを受けていない若者は少なくない。また、不登校の子を受け入れるフリースクールは、費用や子どもの送迎が必要になる場合も多い。「とくに経済的に厳しい家庭では、子どもが不登校や引きこもりの状態になっても、外に出て社会とつながるのが難しい」と感じる。
めぶきは障害者の福祉事業所ではなく、誰でも無料で利用できる。年間約1千万円の運営費のうち、6割ほどを事業収益でまかなう。弁当やドライフルーツの製造販売、地域の企業から受託したアパートの清掃業務などが事業の柱だ。現在、めぶきの利用者のうち6人はアルバイトとして雇用され、給与を受け取りながら働いている。
今後は利用者の受け入れを増やし、事業を安定させることが課題だ。このため4月末、1カ所目の拠点を市南部に移転し、カフェを開く予定だ。調理場やジェラートの製造マシンの導入のため、CFサイト「CAMPFIRE」(https://camp-fire.jp/projects/820679/view)で3月末まで寄付を募る。永井さんは「生きづらさを抱えている人が『前に進みたい』と思ったときに、社会とつながる選択肢の一つになれれば」と話す。
マルシェは20日午前10時~午後3時、長野市若里1丁目の「Studio Sonne」で。食品や工芸品を販売する16のブースが出店する。めぶきの利用者十数人が運営を手伝い、中学生による菓子のブースもある。近隣の松代、更級農業、長野商の3高校の生徒もブースを出して食品などを販売する。
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