第4回「外国人優遇だ」批判の電話やまず 保険や現金支給…過熱する争奪戦

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黒田早織 織田一
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 「ベトナム人の家族の医療費を公金で負担するなんて、おかしい!」「日本の健康保険をベトナム人に適用するのか!」

 2024年5月、山梨県庁の電話が鳴りやまなかった。クレームは半月で400件を超え、県内外から殺到。担当者は「通常業務が回らなかった」と振り返る。

 発端は、県内で働くベトナム人の母国の家族を給付対象とした医療傷害保険制度の創設だった。

 保険は、県が「東京海上ベトナム」に依頼して構築。県在住のベトナム人労働者が契約者、母国の家族が被保険者になる。保険料は家族1人あたり年2万6千円で、この保険を利用すれば現地での医療費は実質1割負担で済む。

 その上で、ベトナム人を雇う県内企業が保険料の4分の3以上を助成すれば、県は助成分の2分の1を企業に補助する――という仕組みだった。

ネット炎上も…無策では「選ばれるはずがない」

 民間の保険がベースで、日本の健康保険制度などとは別物だが、県によると「現地家族の医療費の9割を県が税金で負担する」という誤解が多かった。「日本人高齢者の医療費の窓口負担を1割に下げたり、日本人の貧困層に新しい援助を設けたりすることを優先すべきだ」などという「外国人優遇」批判につながり、ネット上も炎上した。

 件数こそ減ったが、批判の電…

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この記事を書いた人
黒田早織
ネットワーク報道本部|東京駐在
専門・関心分野
司法、在日外国人、ジェンダー、精神医療・ケア
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    鈴木江理子
    (国士舘大学教授=移民政策)
    2025年3月20日11時0分 投稿
    【視点】

    あるメディアの全国自治体調査(調査対象は全国47都道府県、1,741市区町村の計1,788自治体)によれば、自治体にとって外国人受入れ拡大(推進)が必要かどうかの質問に対して、必要(どちらかと言えば必要も含む)と回答した自治体が、2016年

    …続きを読む