「創造力」育むミシン 達成感に独創性、その奥深さにはまったら

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伊藤裕香子
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いまこそ、ミシン(上)

 上糸を通し、下糸のボビンケースをはめこむ。小学5年生の子どもたちのまなざしは、目の前の糸と針に集中している。

 2月26日、神戸市にある私立甲南小学校の家庭科の授業は、4カ月ぶりにミシンの実習だった。「緩くなっちゃった、やり直しっ」と自分に言い聞かせるようにつぶやく女の子。額をミシンにあてて、ずっと糸を針に通す作業と格闘する男の子。ペンケースを縫い始める作業に、なかなかたどりつけない。

 「ミシンはロボットのようなせいみつなマシンです。どこかひとつでもミスがあると、動かなかったり、からまったりします」。宮下尚也(ひさや)先生(64)は昨秋、実習の始めに配ったプリントにこう記した。この日も「正確に動かすには、きちんと手順を確認すること。うろ覚えにしない」と、重ねて注意を促した。コントローラーの踏み込み方や針の取り付け位置が悪かったり、試し縫いをきっちりしなかったりすると、けがや事故につながりかねないからだ。

 基本動作の大切さを身につけてもらいつつ、「全自動ではない道具を通して、工夫や失敗から、生きる力としての創造力を育んでほしい」と宮下さん。

手間かかる糸の準備も「成功したら楽しい」

 準備は手間のかかる作業だが…

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この記事を書いた人
伊藤裕香子
論説副主幹
専門・関心分野
税財政、くらしと消費、地方経済