北陸新幹線延伸「京都を台無し」 京都仏教会が撤回求め署名活動開始

西崎啓太朗

 清水寺や金閣寺、東寺など約1千の寺院が加盟する京都仏教会(理事長・有馬頼底〈らいてい〉臨済宗相国寺派管長)が、北陸新幹線の現在の延伸計画の白紙撤回を石破茂首相らに求める署名活動を始めた。オンラインや郵送のほか、京都府内の加盟寺院の境内で拝観者らに署名を呼びかける方針だという。

 政府・与党は北陸新幹線の敦賀(福井県)―新大阪間の延伸について、福井県小浜市付近を経由して京都市内など府内を南下する「小浜・京都ルート」で進めている。京都仏教会は昨年12月、西脇隆俊知事や京都市の松井孝治市長に、延伸計画は「千年の愚行」だとして再考を求める申入書を手渡していた。

 京都仏教会は署名の呼びかけ文で、長大トンネルの掘削で地下水位の低下や地下水脈の途絶、地盤沈下が予想されると指摘。豊かな地下水に育まれた食文化や、世界遺産や多くの国宝を擁する「京都を台無し」にして「京都が京都でなくなる」と訴えている。「断固たる決意の下に計画の白紙撤回を求めます」とも記している。

 署名は1年間をめどに募り、目標は50万筆。会は今後、僧侶らが街頭で署名を呼びかけることも検討しているという。常務理事で聖護院(京都市左京区)門主の宮城泰年さん(93)は「署名をきっかけに、府民に北陸新幹線を自分事として考えてもらえたらうれしい」と話している。

 京都仏教会のウェブサイト(https://www.kbo.gr.jp/information/20250214/別ウインドウで開きます)で署名方法を案内している。署名用紙は加盟寺院の境内にも順次、置く方針だという…

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この記事を書いた人
西崎啓太朗
ネットワーク報道本部|大阪駐在
専門・関心分野
移民、難民、宗教、災害、中東地域