現代詩の母・永瀬清子の没後30年 生家で「紅梅忌」、追悼文朗読も
「現代詩の母」とも呼ばれた詩人・永瀬清子(1906~95)を追悼する「紅梅忌」が16日、岡山県赤磐市松木の生家「清子の家」であった。没後30年を記念して当時の追悼文を朗読したり、生前のドキュメンタリー映像を流したりして、清子をしのんだ。
清子は1930年に第一詩集「グレンデルの母親」を発表。戦後は地元で創作を続け、雑誌「黄薔薇(ばら)」を創刊するなど、詩人の育成にも努めた。
生まれた日に紅梅が咲いており、生前に好んでいたことから、清子の誕生日で命日の2月17日は紅梅忌と呼ばれ、慕う人たちが追悼してきた。2020年、NPO法人「永瀬清子生家保存会」(赤磐市)がいったん途絶えた紅梅忌を復活させ、今回で6回目だ。
この日は、参加者約20人が裏山の墓で手を合わせた後、「清子の家」へ。保存会理事長の横田都志子さんら4人によって、清子が亡くなった際に詩人ら7人が寄せた追悼文が朗読された。
また戦後80年に合わせ、戦争で傷ついた人びとを励ます清子の代表作「降りつむ」を横田さんが読み上げた。女性詩などを研究する菊地利奈・滋賀大教授も出席し、2年前に「清子の家」で海外の研究者と日本語と英語で清子の詩を朗読した際の映像も流した。
追悼文を朗読した岡山市の女性(61)は紅梅忌に初めて参加した。「たくさんの方々が清子との関係を大切にしてきたことがわかり、胸に迫るものがありました」と話した。
「清子の家」2階のギャラリーでは、清子の詩作の原点を探る企画展「詩人永瀬清子の源流」が開かれている。3月25日まで(水・木曜休み)。入場料は一般500円、16歳以下無料。問い合わせは保存会(070・3783・0217)へ。
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「清子の家」に併設されたカフェ「グレンデルの釜屋」では、地元・赤磐市の高校生が清子の詩をイメージして制作したイラストが飾られている。
制作したのは、岡山工業高校デザイン科3年の横田和志さん(18)。清子の家から近い豊田小学校に通い、清子が作詞した校歌を歌った。将来、小説の挿絵を描きたいと考えており、卒業制作にあたって清子の詩をイラストで表現することを思いついたという。
イラストにしたのは、「天気女」など4編。清子の詩集を読み込んで好きな詩を選び、詩とイラストを一枚のパネルに仕立てた。
詩の意味を考えながらラフスケッチをした上で、詩に合う景色の写真を参考にしながらパソコンの作画アプリを使って約5カ月かけて仕上げた。卒業制作展を訪れた保存会関係者からの誘いでカフェに飾ることになったという。
横田さんは「きちんと表現できるか不安だったが、卒業制作展では達成感があった。(清子の生家に)飾ってもらえてうれしい」と話している。展示は3月末までの予定。
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