「子会社破産取り消し」の日機装、関連事業からの撤退を発表
産業用ポンプや医療用機器などを手がける「日機装」(東証プライム上場、本社・東京)が14日、「深紫外線LED」事業から撤退することを明らかにした。事業の売却先を探すとしているが、同事業をめぐっては関連特許を保有していた連結子会社の破産が東京高裁に取り消され、子会社の創業株主と特許をめぐる争いが起きている。事業売却へのハードルになりそうだ。
深紫外線LEDは除菌などの効果がある。日機装の事業ではこの効果を活用した空間除菌消臭装置などが新型コロナ禍の感染対策で売り上げを伸ばしたが、需要が一巡。市場が期待通りに広がらず採算の確保に苦しんでいた。15年から深紫外線LEDを量産してきた石川県白山市の白山工場は今年のうちに閉鎖し、売却する予定という。
深紫外線LEDの製造技術はもともと子会社の「創光科学」が開発し、特許を日機装に提供する対価を主な収益源としていた。日機装は、事業見直しの一環として創光科学の整理を決め、23年5月に東京地裁に破産手続き開始を申し立て、認められた。だが、これに対して創光科学の創業株主の一本松正道氏ら3人が東京高裁に即時抗告を申し立て、24年12月に破産取り消しの決定が出た。
日機装は高裁の決定を不服として最高裁に「特別抗告」を申し立てている。だが、特別抗告は憲法違反があるときに限って申し立てられるものだ。同社の村上雅治執行役員は14日の2024年12月期決算会見のなかで、申し立てが通る難しさを認めたうえで、「裁判で勝つことより、早期の決着を図るべく、検討している」と話した。
一本松氏は朝日新聞の取材に対し「今後の話し合いは日機装側の出方しだい」と語った。
同社の24年12月期決算は…