和歌山パートナーシップ宣誓の2人「生きているうちに結婚できたら」

花房吾早子
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 互いを人生のパートナーと約束して公的な証明を得る「和歌山県パートナーシップ宣誓制度」が始まって1年がたった。制度を使った1組目のカップルが9日、和歌山市内でトークイベントに出演し、パートナーシップ宣誓後に変わったこと、変わらないことを語った。

 市内に住むタロット占師の高瀬和代さん(54)とリラクセーション業を営む安西美樹さん(58)は昨年2月、県庁でパートナーシップを宣誓し、受領証をもらった。

 高瀬さんは、戸籍上も性自認も女性。恋愛対象となる人の性別は気にならない「パンセクシュアル」だ。

 安西さんは、女性として生まれ、今は男性として生きるトランスジェンダー。2019年に乳房を切除し、20年に子宮・卵巣を摘出した。戸籍上の性別は女性のままのため、高瀬さんとは「同性」カップルとなる。

 一緒に暮らしてまもなく18年。だが、結婚したくてもできない。安西さんは「親より密な関係なのに、他人からは『身内』と思われない」と話し、パートナーシップ宣誓は「精神的な支えにはなった」という。

 しかし、法律上の配偶者でない状態は変わらず、法定相続人遺族年金の受給者などになれない。高瀬さんは「生きているうちに結婚できたらいいのにね。もう私ら初老やから」と話した。

 県内では今年1月末時点で15組がパートナーシップを宣誓。県によると、2月以降も申請があるという。

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この記事を書いた人
花房吾早子
大阪社会部|平和・人権担当
専門・関心分野
原爆、核廃絶、ジェンダー、LGBTQ+