「もし血がついていたらどんな気持ち?」 生理を学ぶ、男女一緒に

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机美鈴

 生理(月経)について、きちんと知ろう――。奈良県橿原市の下着メーカー「タカギ」が県内の小学校で出張授業をしている。性別に関係なく必要な知識として届けようと工夫をこらす。

 1月23日、奈良市の近畿大付属小では4年生の男女計95人がクラス別に学んだ。

 「みんな、生理って知ってるかな?」と講師が問いかけると、男子を中心に「知らなーい」「何それ」の声。

 講師は女性の体の仕組みや、ナプキンの機能など、手際よく説明していく。「修学旅行中に下着やズボンに血がついたらどんな気持ちになるかな」と問うと、「どうしよう」「恥ずかしい」との声が上がった。

 では反対に、友だちのズボンに血がついていたら? 講師が問うと、「小さい声で教えてあげる」「自分の上着を貸して隠す」といった声。出血はコントロールできないこと、そうした場面に遭遇してもちゃかすのはやめようね、と確認しあった。

 ほかにも、生理は急に始まって洋服や布団に血がついてしまうことがあること、個人差があること、腹痛を伴うこともあるが健康な体のバロメーターであることなどを学んだ。

 授業を終えて男子児童は「そんなことが起きるんだってびっくりした。男女関係なく知っておいた方がよい知識だと思った」と話し、女子児童は「お母さんがお風呂で生理が始まって、助けたことがあった。生理になるのは仕方なくても、自分に合った生理用品を見つけたい」と話した。

 担任の伊藤友佑教諭は「血が出ることに少なからず驚いた様子だったが、抵抗感なく受け止めていた。学ぶのによいタイミングだったと思う」と話していた。

 タカギは生理用ショーツの製造を長年手がけており、生理に関する知識を広めたいとして、2018年から社会貢献活動として県内の小学校を回り、出張授業は約20回に上る。

 講師役は社員の男女5人で編成。男性も語り手となることで、男女関係なく必要な知識であることを伝えてきた。

 同社の草間美帆取締役は、男子児童に何を知ってもらうか、女子と男子が一緒に学ぶ抵抗感をどう軽減するか試行錯誤してきたと話す。「授業後のアンケートで『男子と一緒に学ぶことで困ったときに助けてもらえそう』といった女子の反応が多く、励みになっている。授業で聞いたことがいつかどこかで役に立ってほしい」という。

 《授業では、タカギの社員5人が交互に教壇に立ち、小学生たちに生理について授業した。その語り口を再構成した。》

悩まないで、助けてあげて、出張授業のメッセージ

SNSでは「処女は生理にならない」「毎月同じ日に1日だけ起きる」など、生理に関する男性側の誤解がしばしば話題になります。男女でともに学ぶスタイルの「タカギ」の授業を、同社協力のもとで再構成しました。後段では、授業を聞いた記者の脳裏によみがえった30年前のエピソードを紹介します。

 みんな、生理って知っているかな? 知らなくても全然大丈夫だよ。今から説明するね。みんなで楽しく学びましょう。

 女性には子宮という臓器があ…

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この記事を書いた人
机美鈴
奈良総局|県政・教育担当
専門・関心分野
ジェンダー、性、動物福祉、化学物質過敏症
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    上西充子
    (法政大学教授)
    2025年2月13日22時6分 投稿
    【視点】

     興味深い取り組みです。男性社員も語り手となる、というのがよいですね。生理に関わる製品・サービスを提供する企業では男性も働いていることがわかりますし、男性が女性の生理について知ることの大切さも、このような授業を通して自然に理解されるのでは、

    …続きを読む