トランプ氏「ウクライナに圧力」間違い気づく ロシアを説得できるか

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聞き手=喜田尚

 ロシアとウクライナの停戦を目指すトランプ米大統領は、ロシアのプーチン大統領との会談の早期実現を目指しているとされます。消耗戦を続ける双方の停戦合意は可能なのか。安全保障政策に詳しい鶴岡路人・慶応大学准教授に聞きました。

 ――トランプ氏はロシアとウクライナを停戦に導けるのでしょうか。

 トランプ氏は就任前の記者会見で、停戦までに必要な時間について「6カ月」と、それまでの発言を修正しました。大統領選で「1日で戦争を終わらせる」と言っていたときは、前提に「戦争が続くのはウクライナが奪われた領土をあきらめないから。ウクライナに圧力をかければ戦争は終わる」という単純な理解があったと思います。

 抜け落ちていたのは、ロシアに停戦する気があるのか、という点です。ロシアは戦況を優位に進め、占領地の拡大を続けています。攻撃をやめるインセンティブがありません。トランプ政権が本気で停戦を実現させたいのであれば、課題はどうやってロシアに譲歩させるか、です。

 侵攻が始まった直後の2022年春のイスタンブールでの停戦交渉で、ロシアはウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に入らないだけでなく、ウクライナ軍の徹底的な弱体化を求め、それが大きな原因の一つとなり、交渉は決裂しました。プーチン大統領が「今も変わらない」とする侵攻の最終的な目的はウクライナの属国化であり、軍事的な弱体化はその中心に位置づけられます。停戦交渉になれば再び同じ問題が出てきます。トランプ氏が発言を修正したのは、当初の想定が現実離れしていたことに気づいたからです。

 ――トランプ政権はウクライナ支援を引き揚げるのでしょうか。

 トランプ氏はバイデン前大統…

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この記事を書いた人
喜田尚
国際報道部
専門・関心分野
欧州、旧ソ連地域、民主主義、難民問題など人間の安全保障
ウクライナ情勢

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