甘かった市場の楽観論 トランプ大統領が信じる「関税」の意義
ワシントン=榊原謙
トランプ米大統領が1日に表明したメキシコ、カナダ、中国に対する関税の発動は、同氏の「初志貫徹」を強烈に印象づけた。想定される副作用などお構いなしに関税発動に突き進んだトランプ氏。関税は「脅し」に過ぎず、実施は見送られるのではないかという金融市場などの観測は甘かった。
1月31日夕。ホワイトハウスで記者団から、3カ国が高関税を免れる道はないのかと問われたトランプ氏は短く答えた。「ノー。ナッシング(何もない)」。関税の発動には妥協の余地が一切ないというメッセージだった。
トランプ氏は昨年の大統領選中から、不法移民や合成麻薬フェンタニルのメキシコやカナダからの流入に、高関税で対抗すると訴えた。大統領選後の昨年11月下旬時点ですでに、今回の関税の骨格である「カナダ・メキシコに25%」「中国に追加10%」を予告していた。
それでも、金融市場などでは…