1万3千人の町が所有する4スキー場 老朽化と財政難で迫られる存廃

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斎藤徹
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 福島県南会津町が所有する四つのスキー場が、存続か廃止かの選択を迫られている。2006年の平成の大合併前に造られたスキー場は施設の更新時期を迎えているが、人口減が進む町には修繕・維持管理費を捻出するのが難しく、町は二つのスキー場を閉鎖する方針を示した。地元スキー場の存続をめざし町民も動き出した。

 南会津町は06年、田島町、舘岩村、伊南村、南郷村が合併して誕生した。4町村はそれぞれスキー場を運営しており、合併後は南会津町が引き継いだ。

 4スキー場は、だいくら(田島)、たかつえ(舘岩)、北日光・高畑(伊南)、南郷(南郷)。

 いずれもスキーブームが起きていた1970年代後半~80年代に造られた。同じ福島県内の猪苗代・磐梯エリアのように全国的な知名度があるわけではないが、良質の天然雪に恵まれていることもあり、県内にとどまらず北関東や首都圏から、多くのスキー客が訪れた。

 だが、近年はスキー人口の減少や雪不足、コロナ禍などの影響を受け、来場者が減っている。

 2022年の客数は、だいくら約6万人(07年比38%減)、たかつえ約8万7千人(同72%減)、高畑約3万3千人(同47%減)、南郷約3万2千人(同46%減)だった。昨シーズンの客数は、だいくら約6万7千人、たかつえ約10万6千人、高畑約2万7千人、南郷約3万7千人だった。

合併前に4町村が造成

 町は第三セクター会社や外部の観光経営会社による指定管理者制度を導入し経営改善を図った上で、4スキー場を「会津高原」のブランドで統一し、各スキー場の特徴をPRしたり、スタンプラリーを実施したりと、誘客に努めてきた。

 だが、町が23年度に福島県中小企業診断協会に診断を依頼したところ、今後の人口減少温暖化による営業日数の減少リスクを指摘された。

 さらに開業から約40~50…

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この記事を書いた人
斎藤徹
山形総局|総局キャップ・県政担当
専門・関心分野
人口が減っても持続可能な地域づくり
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