イスラエル軍、市民犠牲の基準緩和 ガザの戦闘開始直後 米紙報道

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エルサレム=高久潤

 米紙ニューヨーク・タイムズは26日、イスラエル軍が、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘が始まった直後、市民の死者を避けるための従来の基準を弱め、1回の空爆で最大20人の民間人が死亡してもよいとする命令を出していた、と報じた。

 報道によると、この命令が出たのは、ハマスからの奇襲攻撃を受けた直後の昨年10月7日午後1時。それ以前は、軍の攻撃対象はハマスの上級司令官や軍事拠点に制限し、市民への犠牲が「最小限にとどめられている」と軍の上級司令官が判断したときのみ、攻撃が許可されていた。

 だが、この命令によって空爆の対象にはハマスの末端戦闘員が加えられたうえ、攻撃を許可できる指揮官の範囲が拡大された。一度の攻撃に巻き込まれて死亡しても仕方ないとする市民の数についても、20人に変更されたという。

 同紙は、100人以上のイス…

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この記事を書いた人
高久潤
エルサレム支局長
専門・関心分野
グローバリゼーション、民主主義、文化、芸術
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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年12月28日12時24分 投稿
    【視点】

    死なせてよい民間人の数を、軍の命令で決めるというのは異常である。 民間人と医療機関に対する攻撃は、1949年のジュネーブ条約と、1977年の追加議定書で禁じられている。しかし一回の攻撃で死なせてよい民間人の数を、軍の裁量で決めてよいかどう

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